「ヤマトフルフィルメントって利用したほうが良いのだろうか?」
「ヤマトフルフィルメントはどうしたら始められるのだろうか?」
「結局のところいくらくらいかかるの?」
と悩まれていませんか。
よくわからないまま利用を始めてしまうのはやはり危険です。
「思ったよりもコストがかかり、利益が減ってしまった」「わからないまま進めたら思ったよりも大変だった」といった失敗の声もあります。
このような後悔をしないためには、サービスの正しい理解をする必要があります。
この記事では、活用するメリット、利用料金、利用方法、注意点について詳しく解説していきます。
目次
ヤマトフルフィルメントとは?
ヤマトフルフィルメントとは、ヤマト運輸が提供しているサービスで、ヤマトグループの全国110ヶ所の倉庫を活用し、商品の受注から保管、出荷までの一連の業務を代行してくれるサービスです。
またフルフィルメントとは、EC事業者の業務で必ず発生する受注・決済・梱包・発送など一連の業務を指します。
売上規模や販売数が大きくなることで、この一連の業務負荷は高くなるため、大手ECモールでは独自のフルフィルメントサービスを提供しています。
ヤマトフルフィルメントの3つのメリット
ヤマトフルフィルメントサービスを利用することでどのようなメリットがあるのでしょうか。メリットは3つあります。
1.業務工数の削減
1つ目のメリットは、一度ヤマトの倉庫に納品さえしてしまえば、帳票発行、ピッキング、梱包、出荷、配送まで一連の業務をすべてヤマト運輸が代行してくれますので、受注後の業務が大幅に削減することが可能になります。
2.優良配送マークがつく
2つ目のメリットは、ヤマトフルフィルメントを利用すると、商品ページに「優良配送」と表示されるようになることです。これは配送品質が高く、お届けがスピーディーな商品であることを消費者にPRできますので、売上や購買率向上が期待できます。
また、優良配送は、Yahoo!ショッピングとPayPayモールが定める基準をクリアしたものとしてお墨付きを得ることができ、検索結果などで場所に掲載されやすくなります。
3.低価格
3つ目のメリットは、AmazonのFBA(フルフィルメント by Amazon)、楽天市場のRSL(楽天スーパーロジスティクス)と比較し、サイズによりますが低価格で利用できることです。
特に、小型サイズ(ポスト投函サイズ)に関しては、ヤマトフルフィルメントが最も低価格で、小型サイズに収まる商品を扱うことが多いEC事業者の方には、ヤマトフルフィルメントを利用することのメリットは大きいです。
小型サイズ | ヤマトフルフィルメント | AmazonのFBA | 楽天市場のRSL |
単体 | 税込197円 | 税込290円 | 税込253円 |
複数 | 税込253円 | 税込550円 | 税込253円 |
ただ、小型サイズ以外に関しては、RSL(楽天スーパーロジスティクス)の方が安い場合もあります。自社で扱っている商品のサイズに合わせて適切なフルフィルメントサービスを検討する必要があります。
次の項目で料金について詳しく見ていきましょう。
利用料金
ヤマトフルフィルメントを利用することでかかる料金は以下の2種類です。
1.配送手数料
2.在庫保管手数料
1.在庫保管手数料
在庫保管手数料とは、商品1ピース1日の保管に対して発生する料金です。
サイズ | 在庫保管手数料 |
ネコポス | 0.3円(税込0.33円) |
60サイズ | 1.5円(税込1.65円) |
80サイズ | 2.3円(税込2.53円) |
100サイズ | 6.2円(税込6.82円) |
120サイズ | 7.2円(税込7.92円) |
140サイズ | 15.8円(税込17.38円) |
160サイズ | 24.9円(税込27.39円) |
180サイズ | 30.5円(税込33.55円) |
200サイズ | 39.7円(税込43.67円) |
注意しておかなくてはいけないのは、無駄な在庫を預けてしまうと、その分だけ保管料金を多く支払わなくてはいけないことになります。倉庫に預ける商品は適正な数を保つことが大切です。
2.配送料
配送料は、商品の梱包と配送に対して課金される配送手数料になります。
配送料で正しく理解しておきたいことは、Yahoo!ショッピングとPayPayモールで注文が入った場合と、それ以外(Amazon/楽天など)の店舗で注文が入った場合で配送料が異なることです。
サイズ | ヤマトフルフィルメント | それ例外 (Amazon/楽天など) |
ネコポス | 179円(税込197円) | 230円(税込253円) |
60サイズ | 382円(税込420円) | 500円(税込550円) |
80サイズ | 424円(税込466円) | 560円(税込616円) |
100サイズ | 459円(税込505円) | 600円(税込660円) |
120サイズ | 598円(税込658円) | 700円(税込770円) |
140サイズ | 925円(税込1,018円) | 940円(税込1,034円) |
160サイズ | 998円(税込1,098円) | 1,000円(税込1,100円) |
180サイズ | 1,526円(税込1,679円) | 1,648円(税込1,813円) |
200サイズ | 1,732円(税込1,905円) | 1,818円(税込2,000円) |
なお、ヤマトフルフィルメントの配送料は、全国どこでも一律なので、面倒な設定は不要です。
また、もう一点配送料で知っておきたいのは「追加ピッキング」料金です。追加ピッキング料金とは、2つ以上の商品を同じ箱に同梱して発送する際にかかる料金のことです。
2つ以上の商品であっても、1つの箱で送付できれば1配送分の料金で済ませることが可能です。ただし、商品ごとにピッキングする手間はかかっているため、その分「追加ピッキング料」が発生することになります。
追加ピッキング料は、サイズごとに下記の料金が適用されます。
サイズ | 追加ピッキング料 |
ネコポス | 45円(税込50円) |
60サイズ | 75円(税込83円) |
80サイズ | 75円(税込83円) |
100サイズ | 75円(税込83円) |
120サイズ | 95円(税込105円) |
140サイズ | 180円(税込198円) |
160サイズ | 180円(税込198円) |
ここまでがヤマトフルフィルメントを利用する際に発生する利用料金になります。以下では、その他オプションサービス料金について見ていきましょう。
※上記料金表は2022年3月時点の料金であり、予告なく変更されている可能性があります。最新の料金についてはヤマト公式サイトを参照してください。
3.その他オプションサービス料金
ヤマトフルフィルメントには様々なオプションサービスがあります。有料となりますので、自社に必要なものを選択できると良いでしょう。
オプションサービス | 料金 |
有効期限付き入庫登録サービス | 税込28円/1明細 |
バーコード貼付サービス | 税込22円/1ピース |
透明袋入れサービス | 税込22円/1ピース |
緩衝材梱包サービス | 税込88円/1ピース |
廃棄取次サービス | 税込55円/1ピース |
申込方法
ヤマトフルフィルメントを利用するには、単体契約とマルチチャネル契約という2種類の契約どちらかを選択する必要があります。
Yahoo!ショッピングとPayPayモールのみでしかヤマトフルフィルメントを使わないEC事業者の方は「単体契約」をお薦めします。
それ以外の店舗でもヤマトフルフィルメントを使いたい場合は、「マルチチャネル契約」をお薦めします。
各契約では、受注後の作業に違いがありますので、正しく理解しておく必要があります。
単体契約では注文が入ると自動で出荷作業が始まりますが、マルチチャネル契約だと自動で出荷はされない点に注意が必要です。
マルチチャネル契約の場合は、出荷のために注文情報をCSVファイルにまとめて、ヤマトフルフィルメントのサイト上で出荷申請する必要があります。
なお、マルチチャネル契約をする場合に、受注後の作業を自動出荷できる便利なツール(複数ECモール一元管理システム「Crossma」)もありますのでヤマトフルフィルメントの利用と合わせて併用できると生産性の高いEC運営が可能となりますので検討をお薦めします。
申込み後の利用開始手順
契約プランを決め、申し込みが完了した後の手順についても解説していきます。
申し込みを含めた流れは以下5ステップになります。
ステップ1.お申込み
こちらの申込URLからYahoo!ショッピングのストアクリエイターProにログインしてください。フルフィルメント申込ページがありますので、こちらから申込みを行います。
※ヤマトフルフィルメントは現状Yahoo!ショッピングとの契約者のみ利用可能となっています
ステップ2.設定
ストアクリエイターPro上でヤマトフルフィルメント対象商品を選び、配送設定を行ってください。
ステップ3.商品登録
ヤマト運輸サイトで対象商品の情報を登録してください。
※直接入力だけでなくCSV一括登録も可能。
ステップ4.納品予約
ヤマト運輸サイトの「納品依頼管理画面」で納品予約を行ってください。
※直接入力だけでなくCSV一括登録も可能。
ステップ5.ヤマトの倉庫に商品を発送
既定の「フルフィルメントセンター(ヤマト運輸のフルフィルメント用倉庫)」へ商品を発送してください。
上記完了後、ヤマト運輸にて納品作業を行い、1~2営業日後に出荷ができるようになります。
3つの注意点
申し込み後の流れについては理解いただけたでしょうか?
本記事の最後に、ヤマトフルフィルメントを利用するにあたっての注意点についても解説していきます。注意してほしい点は3つです。
1.納品にも手間と費用がかかる
ヤマトフルフィルメントを利用する場合、商品をヤマトの倉庫に送る必要があり、その際に手間と費用が発生します。
ヤマトの料金表にも書いていないため見落としがちですが、これを認識しておかないと期待していた利益とずれる可能性があります。
※もし卸業者やメーカーから商品を買い付けている場合は、購入した商品を一度自社オフィスや倉庫に届けるのではなく、直接ヤマトフルフィルメントに納品し、手間と費用を削減するとよいでしょう。
ただしその場合は自身の目で商品を検品できなくなるため、信頼ある仕入れ先の商品であることが前提です。
2.保管料が高額になる場合がある
在庫回転率が低い場合、ヤマト倉庫で在庫を保管し続けることになるため、保管料が高額になります。
例えば、100サイズの商品100個が1年間売れずに保管されていたとすると…
6.82円×100個×365日=248,930円/年
もの費用になってしまいます。
販売業では重要な在庫回転率ですが、フルフィルメントサービスをはじめ外部倉庫を利用する際は特にシビアに管理するようにしましょう。
3.ヤマトフルフィルメントを使っても手作業は多く残る
ヤマトフルフィルメントを使っても、受注メールや出荷完了メールの送信、モールのステータスを変更といった作業は行う必要があります。
また、Yahoo!、PayPayモール以外のモールで注文を受けた場合、自動で出荷はされないため、出荷指示のためのCSVファイルを出力し、出荷依頼しなくてはいけません。
ヤマトフルフィルメントを使っても、意外と多くの手作業が残しまうのです。
先ほども紹介をしましたが、ヤマトフルフィルメントと便利なツール(複数ECモール一元管理システム「Crossma」)を併用することで、こうした手作業も解決することが可能ですので、検討してみることをお薦めします。
・Yahoo!ショッピングだけでなく、楽天市場やauPAYマーケットといったモールで注文が入った場合でもヤマトフルフィルメントに自動出荷指示が可能。
・メール送付やモールのステータス変更も自動処理。
この二つの機能により、注文が入ってもその後の手作業が解消することが可能です。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
本記事を通じてヤマトフルフィルメントサービスの理解が深まり、今後のEC運営に役立ちましたら幸いです。
そして有効なツールを上手く取り入れていただきながら、明るいEC事業の未来を手にしましょう!