「物販で稼ぐ」――。
固く決意したものの、翌日から僕は途方に暮れていた。その理由は、あまりにも多すぎる「情報」だ。
「会社員 副業 物販」と検索すれば、画面には無数のブログや動画が現れる。「【悲報】せどりはオワコンです」「初心者が物販で陥る地獄の失敗談」「在庫リスクで自己破産した話」。ポジティブな成功譚よりも、人の不安を煽るようなタイトルばかりが目に飛び込んでくる。
一体、どれが本当の情報なんだ? 何を信じて、何から手をつければいい? まるで、広大な海にコンパスも海図もなく放り出されたような気分だった。僕は完全に「情報過多の海」で溺れかけていた。
そんな中、いくつかの信頼できそうな個人のブログやYouTubeチャンネルにたどり着く。彼らに共通していたのは、単に「儲かる」と煽るのではなく、ビジネスの全体像と具体的な手順を、体系立てて丁寧に解説していることだった。そして、その多くが推奨していたのが、「中国輸入 × Amazon販売」というビジネスモデルだった。
■解説①:国内せどりと中国輸入、何が違うのか?
物販には、大きく分けて国内で商品を仕入れる「国内せどり」と、海外から仕入れる「輸入ビジネス」があります。初心者が最初に検討しがちな国内せどりと、本連載で解説する中国輸入には、以下のような違いがあります。
項目 | 国内せどり(中古品・新品) | 中国輸入(新品) |
利益率 | 低い(5%〜15%程度) | 高い(20%〜40%以上も可能) |
仕入れ | 店舗やネットで1点ずつ探す(労働集約的) | 工場から大量に仕入れ可能(スケールしやすい) |
継続性 | 同じ商品を継続して仕入れにくい | 売れればリピート発注が可能 |
将来性 | 価格競争に陥りやすい | OEM(オリジナル商品)化でブランドを築ける |
国内せどりが「宝探し」に近い一方、中国輸入は「小さなメーカー(小売業)」に近いモデルです。継続性と将来性を見据えたとき、僕が進むべき道は後者だと確信しました。
■解説②:なぜ「Amazon」で売るのか?
そして販売場所に「Amazon」を選ぶのにも明確な理由があります。それは、ビジネスで最も難しいとされる「集客」を、Amazonが肩代わりしてくれるからです。自分でネットショップを立ち上げても、まずお客様に来てもらうだけで膨大な労力と広告費がかかります。しかし、Amazonには既に圧倒的な数の買い物客が訪れています。
仕入れ販売をなぜしようと思ったのか。
「アリババなどのサイトで安く商品を仕入れ、集客力のあるAmazonに出品して販売する」
これは単なる「安く買って高く売る」だけの転売ではありません。海外の優れた商品を日本の消費者に届け、その対価を得る。まぎれもない「貿易」であり「小売業」。そう理解したとき、僕の目の前にあった情報の霧が、すっと晴れていくのを感じたのです。