EC業界は年々競争が激しくなり、限られたリソースで最大限の売上を出すための「効率化」が求められています。
出荷作業を外部委託して効率化したり、送り状発行をシステム化したり。
やはり多くのEC店舗が共通して抱える課題が、「日々の手動作業の多さ」です。
「手動での作業を減らして効率化したい」とは思っていても、なかなか仕組みを変えられずに業務が減らないという店舗さんも。
今回は、「手間削減」をテーマに、手間が発生している原因を整理し、それぞれに効率化できそうな点を挙げていきます。
「自動化を導入すると人がいらなくなるのでは?」といった“クビ問題”に関する懸念にも触れつつ、経営的にも従業員的にも前向きな改革を目指しましょう。
目次
なぜ“手動作業”が増えてしまうのか
まず、通販業務で「ムダ」が発生しやすい背景を整理しましょう。
1. 複数のシステムを使っている
- 受注管理と在庫管理が別システム
- 受注管理はモールで行い、在庫管理は別システム
- モールごとに管理画面が異なる
- 顧客対応は別ツールで実施
このような場合、同じ情報を何度も手動入力する手間が発生します。
1件あたりは小さな作業でも、積み重なると大きなロスに。
2. エクセル管理が前提
受注処理、メール対応、ピッキング指示、在庫調整、売上集計などが「紙」や「Excel」によって管理されている場合、手動処理による作業時間が肥大化します。
紙の場合、デジタルにシフトしにくい現実があります。
さらに、エクセルやスプレッドシートでは、関数などの計算式が複雑化。
教えるコスト、引き継ぐコストもかかります。
3. 繁忙期の作業負担が倍増する
キャンペーンやセール時期、年末年始などは注文が一気に増加しますよね。
人海戦術で1件ずつ処理していると、「仕事が終わらない」「スタッフが疲弊する」などの問題が生じやすくなります。
通販業務のどこを「自動化」できるのか?
通販事業にはさまざまな業務がありますが、自動化によって大きな効果を出しやすい点を考えてみます。
1. 受注処理
- 自動で受注データを仕分け
- 入金確認・出荷指示をシステムで自動実行
- 顧客へのステータス連絡もテンプレートで送信
システム化することで、1日数時間かかっていた受注処理を10分以内で終わらせることも可能になります。
一度システム化してしまえばあとは自動なので、受注件数が増えても負担はあまり変わりません。
2. 在庫連携
- 在庫数をリアルタイムで同期
- 在庫切れ、売り越し防止
- 補充アラート
モールごとに在庫を按分していませんか?
また、ひとつのモールで売れたら、他のモールの在庫数を人力で減らしていませんか?
在庫連携システムを使うことで、在庫調整のミスが減るだけでなく、返品・キャンセルのリスクも軽減されます。
3. 商品登録・出品作業
- 商品情報のテンプレート化
- 複数モールに同時出品
- 画像の自動リサイズ、自動補正
「手動での作業を減らして効率化したい」通販事業者にとって、ここは非常に大きな時短ポイントです。
出品しないと売れませんからね。
4. 顧客対応・メール送信
- 定型文の自動返信
- よくある質問をまとめて公開
- チャットボットで自動一次対応
ひとつずつ人海戦術をしていませんか?
お客様対応の負担が大幅に軽減され、より重要な問い合わせに集中できます。
自動化による“仕事がなくなる”の誤解
多くの現場で話題になるのが、「自動化したら人はいらなくなるのでは?」という懸念です。
しかし結論から言えば、自動化によって人員を減らすのではなく、人を“より価値の高い仕事”にシフトさせることが本来の目的です。
自動化で浮いた時間はどう活かせるか?サンプル
- 顧客対応の質向上(レビュー返信、長期リピーターへのケア)
- 新商品開発や仕入れの戦略立案
- SNS運用・マーケティング強化
- 新たな販売先の開拓
「単純作業からの解放」はむしろ、人間だからこそできる「考える仕事」「創造する仕事」へ注力できるチャンスです。
従業員にとってもやりがいが高まり、離職率の低下にもつながる可能性があります。
手間削減がもたらす4つの効果
1. コスト削減
人件費の削減だけでなく、ミスによる返品・キャンセル対応コストも軽減されます。
2. 顧客満足度の向上
出荷ミスや対応の遅延が減り、リピート率が向上します。
正確かつスピーディな対応は、顧客満足度を高める最大の要素です。
3. スタッフの負担軽減
業務過多からくる疲弊や不満を防ぎ、働きやすい職場環境を実現できます。
モチベーションが上がることで、業務改善アイデアが現場から生まれやすくなります。
4. 売上アップ
作業効率が上がることで、商品登録数や広告運用など、売上に直結する業務に集中できます。
実際に手間削減を成功させた通販事例
1日4時間以上かかっていた受注処理を「受注一元管理システム」に切り替えた結果、1時間以内に短縮。
浮いた時間でInstagramの運用を強化し、わずか半年でフォロワーが3万人を突破。
月商も前年同期比で1.5倍に伸びたとのことです。
彼らが大切にしたのは、「自動化によって人の仕事を奪う」のではなく、「SNSが得意な人の能力を活かす」「人の価値を高める」ことでした。
今すぐ始められる「削減できる手間」チェックリスト
以下のチェック項目をもとに、自社業務を見直してみてください。
- 商品登録・出品に時間がかかっている
- 受注処理が手動
- 顧客対応が人に依存、属人化
- モールごとの在庫調整に追われている
- 売上レポートの集計が毎回手作業
- 自動化ツールの導入を検討したことがない
3つ以上当てはまる場合は、「手間削減」を検討してみてください。
まとめ|“働き方”を見直すことが、生き残る通販事業への第一歩
「手動での作業を減らして効率化したい」と思っていても、日々の忙しさに流されてなかなか業務改善に踏み出せない方は多いはず。
しかし、通販業界が成熟し、競争が激化する今、「いかに早く、正確に、負担なく運営するか」は事業継続の鍵になります。
手間を削減し、仕事の質を高めることができれば、結果的にスタッフの安心や顧客の信頼、そして売上という成果につながっていきます。
まずは、「今あるムダな作業」を1つでも減らすところから始めてみませんか?
あなたのネットショップ運営が、より強く、より効率的に成長することを願っています。